Status Visa

身分関係ビザ

身分関係ビザとは、結婚ビザ(正式には「日本人の配偶者等」)に代表されるような結婚や日系人などの特定 の身分があるために与えられる在留資格(ビザ)のことです。

1.身分関係ビザとは

「身分関係ビザ」とは、「日本人の配偶者等」や「永住者」など、日本において特定の身分を有する外国人の方に対して与えられる在留資格(ビザ)の総称として使われます。よって、「身分関係ビザ」という在留資格が存在するわけではありません。

「身分関係ビザ」のいずれかをもって日本に在留する外国人の方は、原則として、日本での就労活動に制限がなく、日本人と同様にどのような職場でも就労することが可能です。例えば、工場内での単純作業を行うこともできますし、風俗店で ホステス等の仕事を行うこともできます。

「身分関係ビザ」は、上記のとおり就労に関して大きなメリットがありますが、他の在留資格に比べ、ビザ申請の際には出入国在留管理局においてより厳しく審査されますので、「身分関係ビザ」の取得が認められるための基準を満たしていることを 十分に立証できる書類を収集・作成し、ビザ申請を行う必要があります。

2.身分関係ビザの種類

1. 日本人の配偶者等

「日本人の配偶者等」とは、日本人の配偶者もしくは民法第817条の2に規定されている特別養子又は日本人の子として出生した者を言います。具体的には次の3つのケースが挙げられます。

1. 日本人の配偶者

現に日本人と婚姻している人のことで、法律的に有効な婚姻である必要があります。従って、原則として内縁の妻や夫などは該当しませんが、ヨーロッパの一部の国では離婚をするために膨大な時間と労力がかかるため、内縁状態でも特例として許可が出る例があります。

2. 日本人の特別養子

「民法第817条の2の規定による特別養子」は、家庭裁判所の審判により養父母との間の実の子と同等な関係が成立するため、「日本人の配偶者等」が認められます。一般的な養子縁組では認められないので注意が必要です。

3. 日本人の子として出生したもの

実子はもちろんですが、嫡出子のほかにも認知された非嫡出子も含まれます。ただし、出生のときに父又は母のいずれか一方が日本国籍を有していた場合又は本人の出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡の時に日本国籍を有していた場合に、これに該当します。しかし、本人の出生後または母が日本国籍を離脱した場合も、日本人の子として出生したという事実に支障はありません。

2. 永住者

1. 永住者の概要

在留資格「永住者」とは、法務大臣が永住を認める者で、その生涯を日本に生活基盤を有して過ごす者の事を言います。「永住者」の在留資格を与えられると在留期限が無期限となり、在留資格の更新手続きなどを行う必要はなくなります。また、就労に関しても制限が無いので、日本人と同様にどのような職業にでも就く事が可能となります。

日本国籍を取得する帰化申請と非常によく似ていますが、「永住者」の場合には従来の国籍が変わる事は無く外国人のままで居られる点で大きな違いがあります。しかし、外国籍のままでいると言う事は、いくら国内での活動が自由であっても外国人登録をしたり、出国する際には再入国許可を取得する必要がでてきます。また、退去強制事由に該当するような事があれば、当然に本国などへの退去を強制され、今のところは参政権も認められていません。

また、10年以上継続して日本に滞在していることが在留資格「永住者」の取得の要件になっていますので、海外から来日していきなり「永住者」の在留資格を与えられることは通常ではありえません。

2. 永住許可となるための基準

  1. 素行が善良であること
  2. 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること。
  3. 法務大臣がその者の永住が日本の利益に合致すると認めたとき。
  4. 原則として10年以上日本に在留していること。ただし、留学生として入国し、学業終了後就職しているものについては、就労資格に変更許可後、およそ5年以上の在留歴を有していることが必要とされます。
  5. 配偶者については
    1. 日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は実子もしくは特別養子に関しては、婚姻後3年以上日本に在留していることが必要です。ただし、海外で婚姻の同居歴がある場合には、婚姻後3年以上が経過し、かつ、日本国内で1年以上在留していれば良いことになります。
    2. 実子または特別養子に関しては、引き続いて1年以上日本に在留していればよいことになります。
  6. 定住者の在留資格を持つものについては、定住許可後5年以上日本に在留していること。
  7. 外交、社会、経済、文化等の分野において日本への貢献度があると認められる者については引き続き5年以上日本に在留していれば良いとされています。
  8. 現に所持している在留資格について、最長の在留期間を持っていること。 

本来はインドシナ定住難民などの難民認定者のみが該当する要件もあるのですが、ここでは省略させて頂きます。永住許可申請については「素行が善良であること」と規定されており、過去に交通違反や税金の滞納など法律違反があると許可されないことがあるので注意が必要です。

 また、⑤で定められているように、日本人の配偶者として在留する外国人は3年以上の滞在歴があれば永住申請することができ、大幅に要件が緩和されています。

一方、夫婦が共に外国人である場合には、原則として夫婦それぞれに10年以上の滞在歴が要求されますが、主たる収入をもつ人物が要件をクリアしていれば、その配偶者は滞在歴が5年程度でも永住が許可される事があります。ただし、これは法律や規定で定められていることではないので、必ずしも許可されるとは限りません。このような場合には事前に出入国在留管理局などで相談する事をお勧めします。

3. 永住者の配偶者等

1. 「永住者の配偶者等」の概要

「永住者の配偶者等」とは、永住者の在留資格をもって在留する者もしくは平和条約国籍離脱者等入管特例法で定める特別永住者の配偶者または永住者・特別永住者の子として日本で出生しその後引き続き日本に在留している者を言います。具体的には次の3つのケースが挙げられます。

  1. 「永住者」の在留資格をもって在留する者の配偶者
  2. 「特別永住者」の配偶者
  3. 「永住者」の在留資格を持って在留する者の子として日本で出生し、出生後、引き続き日本に在留する者

2. 「永住者の配偶者等」のポイント

  1. 出生の時に父又は母のいずれか一方が永住者の在留資格をもって在留していた場合又は本人の出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡のときに永住者の在留資格をもって在留していた場合がこれに当たる。
  2. 本人の出生後に、父母のどちらかが永住者の在留資格を失った場合でも、「永住者」の子として出生したという事実に影響を与えるものではありません。
  3. 「子として本邦で出生した者」とは実子をいい、嫡出子、認知された非摘出子は含まれますが、養子は含まれません。
  4. 日本で出生したことが条件となります。そのため、永住者の在留資格をもって在留する者の子であったとしても、母親が再入国許可を受けて外国で出産した場合には「永住者の配偶者等」には該当しません。

4. 定住者

「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者を言います。この「定住者」は国内に滞在する外国人が身分上の変更に伴い取得する場合と、法務大臣が予め定めた難民や日系人などの地位に該当する外国人が海外から入国する場合の2通りに分けられます。

日本国内で取得するケースとしては、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ人が配偶者との死別のために「定住者」を取得することもあります。また、日本国籍の実子を扶養する外国人も「定住者」を取得するケースがあります。

一方、外国人が「定住者」として日本に入国するには、法務大臣が定める法務省告示に該当する場合にだけ認められます。その内容はおよそ以下のとおりです。

  1. アジア諸国に一時滞在しているインドシナ難民で一定の要件に該当するもの
  2. ベトナム在住のベトナム人で、国際連合難民高等弁務官事務所とベトナム社会主義共和国との間の覚書に基づいて家族との再会のため日本に入国を希望する一定条件に該当するもの
  3. 日本人の子として出生した者の実子
  4. 日本人の子として出生した者で、かつて日本国民として、日本に本籍を有したことのある者の実子の実子
  5. 「日本人の配偶者当」の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生した者、または1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の在留資格をもって在留する者の配偶者
  6. 次のいずれかに該当する者またはその配偶者で「日本人の配偶者等」もしくは「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活する者の未成年で未婚の実子。 
    1. 日本人
    2. 「永住者」の在留資格をもって在留するもの
    3. 1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の在留資格をもって在留するもの
    4. 特別永住者
  7. 日本人、「永住者」、1年以上の在留期間を指定されている「定住者」、特別永住者などに扶養されて生活する6歳未満の子

「定住者」にはいろいろ複雑な要件がありますが、最も典型的な例は日系人です。日系ブラジル人などが工場内作業に従事していることが話題になる事がありますが、彼らに与えられる「定住者」の在留資格は就労に制限がありませんので、工場内の単純労働などでも全く問題がありません。

3.よくあるご依頼

外国人と結婚したので配偶者の結婚ビザを取得して一緒に暮らしたい

外国人と日本人が結婚し、日本で生活するような場合には「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することになります。 外国人配偶者が海外にいる場合には在留資格認定証明書交付申請、すでに日本国内にいる場合には在留資格変更許可申請を行います。難民申請中で特定活動の在留資格の方からもよくご相談をいただきますが、日本人配偶者等のビザ申請は偽装結婚防止のため出入国在留管理局での審査が厳しくなっています。審査基準に精通した当社の行政書士に、お気軽にご相談ください。

外国人配偶者の母国にいる連れ子を日本に呼びたい

「定住者」の在留資格認定証明書交付申請請を行って、本国から呼び寄せることになります。定住者ビザが認められるのは、連れ子が未成年で未婚の実子である場合です。 子供の年齢や親権、扶養能力の立証が重要事項となります。

日本人と離婚したが、このまま日本で暮らしたい。

在留資格が、「永住者」であれば離婚してもかわらず日本で生活することができますが、「日本人の配偶者等」の場合は、「定住者」への変更を検討することになります。

定住者は、離婚した日本人との間の子を養育している、相当期間の婚姻生活があり日本に生活基盤ができている、本国に家族・親族がいないので帰国しても生活できない、などの特別の事情を説明する必要があります。

永住許可を自分で申請して不許可になったが、再度申請したい。

まずは、出入国在留管理局にて不許可理由を確認してその理由を是正することが重要です。

内容によっては、再申請まで相当の年月を要する場合もあります。 また、2019年7月から、永住許可申請における法定提出書類は大きく変わり、納税状況、年金・保険の加入、納付状況も厳しく見られるようになりましたので、その点にも注意が必要です。

4.料金(税込)

※横にスクロールしてご覧ください。
   海外からの呼び寄せ
(在留資格認定証明書交付申請)
 ビザの期限更新
(在留期間更新許可申請)
ビザの種類変更
(在留資格変更許可申請)
日本人の配偶者等 88,000 33,000 88,000
定住者 88,000 33,000 88,000
家族滞在 66,000 33,000 66,000
その他 ご相談ください
  • 受任時に着手金として50%
  • ビザ取得時に成功報酬として50%
  • ビザの期限更新とビザの種類変更はビザ取得時に別途収入印紙代が4000円かかります。
永住許可 88,000円
  • 受任時に着手金として50%
  • ビザ取得時に成功報酬として50%
  • ビザ取得時に別途収入印紙代が8,000円かかります。

5. Q & A

Q1.

過去にオーバーステイで出国命令を受け母国に帰った外国人と結婚したのですが、配偶者ビザで日本に呼べますか?

A.

上陸拒否期間(出国命令により自ら出国した者は1年、退去強制された者は5年)を過ぎれば、呼べる可能性はあります。ただし、申請書には、過去の違反について虚偽なく記載しなければなりません。

Q2.

日本人と離婚した後に他の日本人と再婚しました。日本人の配偶者等のビザは更新できますか?

A.

その場合は、配偶者ビザの在留期限の更新時に新たに婚姻した旨を申告することになりますが、婚姻までの経緯、タイミングによってはビザ取得のための偽装結婚を出入国在留管理局で疑われる可能性もあるため、注意が必要なケースとなります。

Q3.

永住者も更新の手続きが必要ですか?

A.

永住者は、在留期間という考えがあてはまらないため、在留期間の更新は不要です。ただし、「在留カードの有効期間の更新申請」が必要です。 写真を入れ替えたり、在留カード自体の更新と考えて良いです。問題がなければ、新しい在留カードは即日交付されます。在留カードに更新手続きは、忘れずに期間内に行いましょう。なお、在留カードの有効期間は交付から7年間です。

Q4.

日本での滞在時間が9年10月になりました。永住許可を申請できますか?

A.

永住許可の標準審査期間は6か月と長期のため、審査期間中に永住の要件である10年を経過するような場合には、申請は受理されます。

Q5.

今のビザの在留期間は,1年しかありません。永住許可の申請はできますか?

A.

申請をしても基本的に不許可となります。永住申請においては,法務省の「永住許可に関するガイドライン」に条件として規定されているとおり、申請の時点で3年もしくは最長の在留期間を持っていることが必須です。 1年のビザを持っている方は,まず在留期間の更新申請をして,3年又は5年の在留期間を取得するのがファーストステップとなります。